風呂ジャンキー

週末は、熱海へ行ってきた。
泊まった旅館は、海へと続くがけっぷちに建っており、
部屋に入ったとたん横長のフレームのようなガラス戸に
ドラマチックな風景が広がる。
老木がフレームのように生い茂り、彼方には海が見える。
江戸時代から続く宿ならではの、一夕一朝ではできない
風景という感じなんだろうか。


温泉もまた良い。「走り湯」といって、その昔は(どれくらい昔だろうね)
温泉が山の中腹からほとばしり海へと流れ込んでいたという。
大地と海のエネルギーの交接だ。
去年行った、ハワイ島のキラウエア火山の溶岩が海へと流れ込む場所を思い出した。
(溶岩の上を2時間歩いた)

こじんまりとした湯船だが、湯質はまろやか。海の近くならではの塩っけがあるが、
お肌もつるつるになる上品な温泉。ぼんやり向こうの船を見て、長々と浸かるのがおすすめです。

私は風呂が好きです。

長野県というのは、地味ですが、ほぼ全ての自治体に温泉があるという感じの場所で、
父親も大の温泉好きで、毎週末どこかしらに連れて行ってくれた。

その中には、山奥で自分で掘る温泉ってのもあった。(行かなかったけど)

家の近所には、「戸倉上山田温泉」という、軽く売春とか不法就労で有名な(笑)ところがあって、
旅館に泊まったりもするけど、普通の日は「万葉の湯」っていう銭湯にいってた。

今良くあるおしゃれできれいな温泉センターじゃなくって、ばりばり400円くらいで入れる番台とかある銭湯で、シャワーもなくて、ケロヨンがあって、温泉のコンパニオンさんも一般人も芸者さんももういっしょくた。

きれいな温泉センターは、でも、温泉臭さがないところが多い。むりやり掘って、多分加温とか加水とかしてるからだと思う。

万葉の湯は、濃くって、昭和っぽいじっとり感があって、大好きな温泉だったなあ。

これがあたしの風呂原体験としたら、
割りと風呂、特に温泉には厳しくなってしまった原因だと思う。

今回のお風呂は、けっこう5本の指には入る風呂だったな。
奇をてらわず普通なんだけど、気持ちよかった。

ちなみに、今まで良かったものをあげとく。

1.東京〜徳島間のフェリーの風呂。2等船室で雑魚寝をして徳島まで行った若き日のおもひでよ。もちろん温泉なんかではないのだけど、フェリーのてっぺんにある大浴場は、目線のところに延々水平線が広がって、一面海原で、それも動いていて、船とか、魚の影とか、とにかく最高だった。朝風呂を一人じめしたな。


1.山形の銀山温泉の、雪がちらつく激寒の温泉を、勝手にかぎを閉めて貸切にし(女子二人で)、日本酒を風呂桶に浮かべて飲んだこと。露天は雪のころは更なりだね。今の年でやったら普通にダメな人だけどね。


1.秋田の鶴の湯。白濁でひなびた混浴の温泉。これも雪の頃。しかし人が多すぎたのと、ちょっと衛生面に不安があって若干点は落ちる。

1.湯布院の部屋に付いてた貸切露天。貸切っていいよね。湯布院は、お湯の質がかなり素直でさらっとしていて、それが若干物足りない部分も。