入院して面白かったテレビ

昨日退院してきました! ヤッホー☆
病室は2人部屋で、差額ベッド代(こんな言葉はじじいむけの保険のCMでしか聞いた事がありませんでしたよ)もそれなりなのに、なぜか……新参者だからか……窓がない!
最後の一葉も数えられません。四方をどうでもいい中間色のどうでもいいデザインの壁、カーテンに囲まれ「これは元気でも病気になる」と思いました。

ほとんど横たわっているので、寝るか飯を食うか、テレビDVD雑誌本の類いで暇をつぶします。
単調なーーほとんど拘束されているーー毎日の中では、日々、決まった事を決まった時間に丁寧に行うことがいかに意味のある事かを知る事が出来ました。
顔一つも、時間をかけて洗う(ひまつぶし)。自分の事を編集で例えるなら雑誌的な人間、と思っているのですが、雑誌的な人間はいかに手早くアイディア勝負でそれなりにできるかをつい追求してしまいがちです。書籍的な人間はきっとじっくり練るタイプです。ムック型人間は……(以下略


そんな中で、テレビでかなり面白いプログラムがあったので紹介します。
もともと、長女であるわたしは、親の「厳しくしつけるブーム」まっさかりだったため(妹二人目のときは飽きていた)、根拠の薄い信念により、かなり大きくなるまでテレビはNHKだけしか見た事ありませんでした。(というわけで「ダンス甲子園」とか実は見た事ない……)そのせいか今でも気づくとチャンネルはだいたいNHK。古き良き昭和の食卓みたいですね。

まずひとつは、NHKプレミアム10の、料理研究家の辰巳芳子さんをとりあげた「おいしさを待ち続けて」
http://www.nhk.or.jp/premium10/
いまや売れっ子料理研究家として、日本の古き良き台所仕事を紹介する第一人者として知られる辰巳先生。なんとなくそのポジションから「美しい日本」とか「国家の品格」とか言い出すんじゃないかと敬遠していたのですが、違いました。
鎌倉の自宅はたくさんの自然に囲まれています。その庭でとれた旬の野菜を季節季節に感謝しながら丁寧に下ごしらえをして料理を作っています。

「見えるものに手をかけるのではなく、下ごしらえなど目に見えないところに手をかけてこそ本当に美味しくなる」
「薄紙を重ねるように日々の仕事を行う」

うろ覚えですが……。

しかもこういうことを言うからって別に説教臭くもなければ変にスピリチュアルなことを言う訳でもなくてちゃんとしてるんですよね。
かつて学者になりたかった夢を、約20年もの肺結核との闘病であきらめざるを得なかった人生から来るものでしょうか?

ただ単に、四季のリズムに合わせ当たり前の家事を積み重ねたことで、なにか辰巳さんの生き方は清潔な宗教的なものへと磨き上げられているような感じを受けました。

さて本も買おう。

さらにもう一つは「知るを楽しむ」という特集。
ちょうど朝の10時くらいから再放送をやっていて楽しみで見ていました。
最初に見たのは、「折口信夫の『死者の書』について中沢新一が語る」みたいなの。
まあ、個人的ツボの組み合わせで。すごい作りも豪華で丁寧。
http://www.nhk.or.jp/shiruraku/200611/tuesday.html
その次の日は、「白瀬矗不肖・宮嶋が語る」というこれもなかなか渋い。
番組の構成も、堅苦しくなくエッジイ。だけどきちんとしてる。というNHKしか出来ないとんがり方ですねー。
中沢新一の回では、幽玄な人形芝居(人形劇三国志みたいなの)で「死者の書」の世界を再現。
白瀬矗のときは、たぶん新進気鋭の有名イラストレーターに再現イラストを描いてもらう。
など、いちいち分かりにくいところに金をかけているのに好感が持てます。

http://www.nhk.or.jp/shiruraku/index.html

その他ラインナップも面白そう!