総一朗 イン ワンダーランド
日曜の朝でおなじみキュートなおじいちゃんこと田原総一朗の「市場浄化」を読む。
堀江貴文、孫正義、宇野康秀などネット業界を賑わわせた有名人から日テレの社長、また近藤淳也や梅田望夫、さらにグーグルのセルゲイ・ブリンなどそうそうたるメンバーに取材をしつつもどことなく不安が……というキモチが的中しちゃった本。
「恥ずかしいことながら当時の私はその言葉を知らなかった」とか「意味が分からなかった」みたいな素直でキュートな反省をおりまぜつつ、堀江と孫と宇野にはマイノリティーからのし上がったヒーローという浪花節のステレオタイプで物語りし、グーグルの取材では「当時は勉強不足だった」と振り返りながら例えるならジャネット・ジャクソンに得意げにコウダクミについて語るみたいなことをしたり、またこれだけそうそうたるメンバーに、もっと聞くべきことはたくさんあるはずなのに「グーグルの検索の仕組み」をインタビューで一から教えてもらったり、「2ちゃんって怖くない?」と乙女のような質問をしている。
(あと、「ミクシイやグリーやはてななどソーシャルネットワークサービスの会社……」という表現も散見。これは編集者がもうちょっと頑張ってファクトチェックするべきでは……)
読んでいくにつれ一体これは誰のための何の本なのか分からなくなっていってすごい感じです。
ただ待ってほしい。これをやっつけでだした老人の調査不足の本とののしるべきではない。
田原氏は、もう十分リアルの世界の、自分のフィールドで成功している人だ。
別にネット業界に深入りして、よくわからん若者の肩をもって、チカラの限り応援する必要なんてないはず。
でも彼は情熱を持って、調べ、見聞きし、感動し、更に「知ろう」としている。
これはみなさんの部長や社長やお父さんあたりに見習ってもらいたい美徳ではないか!!
右も左も分からない不思議な世界で老人が冒険をするまさに「総一朗 イン ワンダーランド」。
もしくは哲学の歴史を少女が現実と架空の世界を行き来しながら勉強する「ソフィーの世界」ならぬ「総一朗の世界」。
一読の価値があるようなないような本である!
おすすめ!