毎月同じところにできるにきびについて


ええもうそれは。
きっちり一月ごとに。
お越しになるのでございますよ。
「俺の顔を忘れてなかったろうね」と。
脂っこい厭らしい顔つきで。
汚らしい。
いつもの場所ですね。
もうすっかり澱んで、窪みができてしまっていて。
そちらではなくて新しい場所をご案内するんですけれど。
なじみの場所だからって。
いやね、嫌がらせなんでしょうよ。
居心地がいい訳はないんですから。
こっちだって困りますよ。
そうそう同じ場所にいつもいられたら…ねえ。
初めてのお客さんの目もありますし。
汚らしいんです。
目を背けたくなるような。
それで、膿んでくるんです。
だから尖ったつめ先で。
あいつの眼球めがけて。
ええ。
ぎゅっと。
出来心です。
毎月毎月。
妾も同じ妄執に取り付かれているんでしょうね。
そんなことをするからまたあいつが、性懲りもなくやってくる原因になるんです。
分かってはいるんですけどね。
心に魔が差すっていうのはこういうことなんでしょうね。