家庭教育のすすめ

日公私共に家族ぐるみでお世話になっている恩師の梅田望夫さんからメール。

「私の幼稚舎時代の恩師、渡辺徳三郎先生の本が再販になることに。つきまして雑誌に書評を書くから載ったら見てね」 (あの、超要約です。てか私の脳ではこのくらいの理解ね!)

と。

早速本をAmazonで購入した旨ご連絡したら、

「じゃ、これが書評の原稿です。読んでみてね」と見せていただいた。


本を勧められ、なおかつ書評の原稿を特別に見せていただく。どうですかこれ。なんらかの感想を述べないといけないわけですが、かなりの罰ゲームです。

がんばった。今年一年一番頑張った。


その本は、「福澤諭吉 家庭教育のすすめ」です。渡辺徳三郎先生は、幼稚舎教諭から幼稚舎長を長く務めた方です。

福澤諭吉 家庭教育のすすめ

福澤諭吉 家庭教育のすすめ

福澤諭吉が、家庭教育をどう捉えていたかが縦軸で、渡辺先生自体の考えを横軸として、色々語られています。


あ、安心してください。よくありがちな、「俺の話を聞け」的な自伝とかじゃなくて、本当に読んでいて面白かった。私山から降りてきた田舎っ子なんで。幼稚舎と聞いたとたんにルサンチマンですよ。色眼鏡ですよ。だからちゃんと面白かったです。お受験本でもなく、また同窓会寄せ書きみたいな本でもないんです。


福沢諭吉は家庭内においても、自由主義で合理主義、また人間味のある人だったようです。儒教的な男尊女卑や孝行の考え方に非を唱え(24孝とかネタでしょ?って漢文の授業のときに思っていたのですが、よかった。諭吉先生も思ってた!)自分の子女にも非常に品のあるスマートな教育を施した。

・幼児期の家庭教育とは、早くからむやみに知識を詰め込むことではない。家庭での良い習慣づけが、大事。(独立心、勉強の意欲、品性を育む)

・夫が妻を見下し服従させるような家庭では自由独立を重んじる子供は育たない。両方が優しく厳しく、また夫婦お互いを尊重しあう家庭にこそよい子が育つ

・獣身を成して後に人心を養う→いくら自由だ独立だといってもまず健康でなければならない。健康と規則正しい生活習慣を身につけてからお勉強である

・家事をさせよう…いくらお勉強ができても実務作業が出来なければ社会に出て使いものにならないぜ

など、当たり前のことだけど、福沢諭吉さんってこんなことを考えてもいたのね、っていうのが面白いです。

あ、もちろん勉強を軽視しているのではなく、全人格的教育という意味です。当時の福沢諭吉が施した教育法なんかも載っています。

また渡辺先生のところについては、最近の幼稚舎事情などにも言及し苦言を呈している、曰く、「幼稚舎あがりは貧弱で使えないと世の中で言われてしまっているが、そんなことではこまる!勉強しないで上に行けるしとか思ってる奴は性根を叩き直す!」とか、「盲愛はこどもをスポイルし増長させる」と。 なかなか激しいですw。

親愛に結ばれている親子なら、親に理があれば叱り、言い聞かせ、子に理があれば認めてあげることで自然と素晴らしい関係を築くことができる。


諭吉のくだりの前半は歴史的な面白さと、渡辺先生のところは実際の教育者の目線で納得いく部分が大きく、また前半に比べ先生のこどもに対する優しさがにじみ出ていて、体操教室の控え室でうっかり涙目になりながら読みました。

教育論としては目新しいこともなくトリッキーなところもないのかもしれません。でも実際誰が言うか、で重みってあるじゃんか。あと言うは易し行なうは難しです。本当に教育はそうです。親の甘えがすぐに子どもに影響するもん。

結局その基本的なところは、できていますか?

という問いに対して、私などはアホなので、つい、習い事しておけばいいや、とか、 めんどくさいから嘘ついてごまかしておこう、とか、
むやみに怒ったり、めんどくさいときは母が何でもしてあげたり、とか、


やっぱり出来ていないので、初心に立ち返る意味でもとても面白い本でした。


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↑というのはmixi日記で書いたものです。なんか色々良いんだっけ?公に言っても?みたいな判断が分からなかったのでミクシィだったのですが一部修正してこちらにもあげておきます。というのも、お母さんやお父さんの人には結構読んでもらいたいからです。(更に言うとツイッターで呟いたら梅田さんからマイミク申請が来まして、もう息子のうんこうんこ話とか夫の愚痴聞いてとかネットの中でも一番しょうもない部分を見せるわけにはいけないという焦りから)
私のママ友さんも結構気になって図書館で予約してくれたり、あとママじゃなくてロンドンでなんか金融のなんかしてる旧友男子も取り寄せとかしてくれてるみたいです。